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物流システムとは、物流に関わる問題を解決するシステムです。種類はさまざまあり、効率化できる業務がそれぞれ異なります。
課題に応じた物流システムを選定することにより、作業時間の短縮や品質の向上、ミスの削減につながります。
今回は、物流システムの機能や種類、メリット、デメリットを解説。物流システムを選ぶ際に重要なポイントや導入事例についても詳しく紹介しています。物流サービスの導入を迷っている方は、本記事をぜひご参考にしてみてください。
物流システムとは
物流システムとは、物流業務に関するそれぞれの工程を管理し、効率化するためのシステムです。物流システムを導入すると、業務効率化やコスト削減、生産者から消費者へスムーズなモノの移動が実現できます。
取扱商品が多く、在庫管理が煩雑で苦労している企業、従業員の業務負荷を軽減させたい企業に魅力的なシステムといえるでしょう。
物流における6つの機能
そもそも物流とは、「物資を供給者から需要者へ、時間的及び空間的に移動する過程の活動」を指します。(引用:JIS(日本産業規格))物流には、安全かつ迅速に荷物を届けるという目的を達成するために、以下の6つの機能があります。
機能 | 概要 |
---|---|
輸送 | トラック・船・鉄道・飛行機などを使い、ある地点から次の地点へモノを移動させること。 |
保管 | 入庫された商品の品質や数量を適正に管理し、必要なタイミングまで倉庫や物流センターに商品を置いておくこと。 |
荷役 |
主に以下に関わる作業全般を表す。
|
包装 | 商品の価値や状態を維持するために、モノの特性に合わせた材料や容器で梱包すること。個装・内装・外装の3つの種類に分かれている。 |
流通加工 | 流通過程で商品を加工すること。倉庫、物流センター、店舗などで行われる。 |
情報処理 | 物流の過程で生まれる情報全般をシステムで管理し、効率的に輸送・保管・荷役・包装・流通加工を行うサポートをする。 |
参考:JIS(日本産業規格)をもとに作成
各工程が重要な役割を果たしており、多くの時間と労力を必要としています。高度化する物流に対して、限られた人員で円滑に対応するには、システムを使って管理を自動化することが肝要です。
物流システムの種類
物流システムにはさまざまな種類があります。主に以下の5つです。
種類 | 概要 |
---|---|
送り状印字システム | 送り状を印刷するためのシステム |
倉庫管理システム | 商品の入出庫や在庫を管理するシステム |
ピッキングシステム | 商品の場所をデータ化し、棚から探し出す作業を効率化するシステム |
運送管理システム | 輸配送の指揮をとる運行管理者とドライバーをつなぎ、運行管理をするシステム |
EDI | 受発注書や納品書などの帳票類を電子データで交換するシステム |
効率的な物流を実現するために、物流システムを使ってどのような業務の生産性を上げられるのかを具体的に見ていきましょう。
送り状印字システム
送り状印字システムとは、手持ちのパソコンとプリンタを利用して送り状を印刷できるシステムです。CSVやExcel形式のお届け先リスト、各種モール(楽天市場、Yahoo!ショッピングなど)の受注データの取り込みをするだけで簡単に送り状をプリントできます。
日本郵便の送り状印字システム「ゆうパックプリントR」は、発送先へのお届け通知や配送状況の確認も可能であり、発送に関わる業務の効率化に有効です。
倉庫管理システム
倉庫管理システムとは、企業の資産である在庫を管理する物流システムです。WMS(Warehouse Management Syste)や在庫管理システムとも呼ばれます。
入出庫の際に変動する商品や資材の数をリアルタイムに管理できるため、欠品の防止や適正在庫の維持に役立ちます。加えて、保管場所(ロケーション)の管理機能により、ヒューマンエラーの解消も可能です。蓄積した作業記録や在庫データは、物流作業の改善にも利用できます。
ピッキングシステム
ピッキングシステムとは、商品の保管場所をデータ化して、ピッキング作業の負担を軽減できる物流システムです。ハンディーターミナルや表示器を活用して、出荷や加工の時に商品を棚から取り出す作業を補助します。また昨今では、ロボットを用いてピッキング作業を自動化するソリューションも台頭しています。
多様な種類の商品を保管している倉庫から、注文されたモノを取り出すとなると、時間がかかってしまうことも少なくありません。ピッキングシステムを利用することにより、ピッキング時間の短縮が実現できます。また、出荷データが残るため、在庫管理にも役立ちます。
運送管理システム
運送管理システムとは、運行管理を円滑に行うために、輸配送の指示を出す運行管理者とドライバーをつなぐ物流システムです。ドライバーのシフト管理や、渋滞を避けたルートの効率化など、運行計画に関わる情報を一元化できます。
また、ドライバーの働く環境を整備したり、安全を守ったりできるシステムでもあります。車両に取り付けた車載器で、走行速度や急発進などのデータを分析できるためです。事故につながる可能性がある動作をドライバーにフィードバックすることで安全運転を促せます。
さらに、ドライバーが車両を運転した際に記録する運転日報の作成を自動化してくれるシステムもあるため、日々の業務負担を軽減できます。
EDI
EDIとはElectronic Data Interchangeの略称で、電子データの交換を意味します。EDIを利用するとインターネット、公衆回線等を経由して、受注・発注、出荷・納品、請求・支払いなどの取引データを企業間で交換できます。ECシステムと配送会社のシステム間で、追跡情報の送受信データを連携する際にも等活用しているシステムです。
帳簿のオンライン化により、書類の紛失防止や、セキュリティの向上を実現。また、データの自動送信も可能なため、取引先との連絡を簡素化ができるメリットがあります。
物流システムを導入するメリット
物流システムを導入するメリットは以下のとおりです。
- 業務効率化
- コスト削減
- サービス品質の向上
物流システムの導入により、具体的に効率化できる業務や改善されるポイントを詳しく見ていきましょう。
業務効率化
物流システムを導入することにより、業務を効率化できるメリットがあります。
たとえば倉庫管理システムを活用すると、リアルタイムで在庫量を把握できるだけでなく、使用期限や賞味期限の管理も自動化が可能です。
廃棄ロスを最小限にできる等のコスト削減や今まで手作業で行っていた業務は、システムの活用で効率化できます。業務を簡素化できれば、コア業務に割ける時間を捻出できたり、従業員の労働環境を整えたりすることも可能です。
サービス品質の向上
業務をシステム化して効率を高めることで、サービス品質の向上が可能です。
たとえば、配送管理システムを利用すれば、詳しい配送状況をリアルタイムで顧客に共有できます。また、ピッキングシステムを使うことで、ピッキング時間を短縮し、注文された商品を正確に取り出せます。
物流システム導入は、作業時間を削減しつつ、精度を高められるため、サービス品質を向上できるのがメリットです。
物流システムを導入するデメリット
物流システムを導入するデメリットは、以下のような点が挙げられます。
- 導入コストがかかる
- 現場が慣れるまで時間がかかる
現在かかっている費用と導入費用の比較や、現場がシステムに慣れる時間に配慮できるよう、詳しく見ていきましょう。
導入コストがかかる
物流システム導入のデメリットは、コストがかかることです。
導入にあたっては、要件定義やテストに期間を要するシステムほど初期費用の負担が重くなります。システムに求める機能の幅によってもコストが大きく変わるでしょう。
システムの導入前には、「現在発生しているコスト」と「システム導入により削減できるコスト」を試算することが重要です。システム会社に見積もりを依頼して、正確なコストを確認してみましょう。
現場が慣れるまで時間がかかる
物流システムを導入すると、現場が慣れるまでに時間がかかることもデメリットとして挙げられます。
従業員は、今まで慣れていた業務の流れが変わり、システムの操作方法を新しく覚える必要があるためです。初めてのシステム入力では、情報の誤入力も想定できるでしょう。
現場を混乱させないためには、事前にシステム導入を周知し、研修を行うなどの対策をしておくことが重要です。
各種システムの全体像
日本郵便では、お客さまのお悩みに応じて最適な物流サービスを提供できます。BtoB、BtoCいずれの受注システムにも対応できる通販クラウドシステムをご用意しており、以下のソリューションを自由に組みあわてご利用いただけます。
- ECサイトの構築:オリジナルのECサイトを簡単に作成・運用できます
- 受注システム:電話注文やCSV登録などの受注データの入力・照会・修正・削除・確定などの受注管理を行います
- 出荷システム:送り状や納品書などの帳票の印刷・出力や出荷指示・出荷実績の管理を行います
- 倉庫管理システム(WMS):入荷・在庫・出荷・棚卸などの倉庫業務の管理を行います
- 決済連携:クレジット決済や郵便振替などの決済方法と連携します
BtoC向け受注システムは、モールからの受注連携やECモール管理、キャンペーン管理機能があることが特徴です。対してBtoB向け受注システムは、請求書・納品書発行機能や得意先管理機能を強化しています。業務効率化やコスト削減に貢献するサービスが揃っています。
自社のニーズにあわせ、各種システムの提供から倉庫業務のアウトソーシングまでワンストップでサポート可能です。お気軽にご相談ください。
導入する物流システムを選ぶ際のポイント
物流システムの導入を検討する際のポイントは以下のとおりです。
- システム導入の目的を明確にする
- 自社に合ったシステムを導入する
- サポート体制が整ったシステムを選ぶ
自社にぴったりの物流システムを導入するために、一つずつ詳しく見ていきましょう。
システム導入の目的を明確にする
システムの採用を決める前に、物流システム導入の目的を明確にすることが重要です。
物流システムはソリューションによって解決できる問題が異なります。自社の課題が不明瞭な場合、状況改善につながらない可能性もあるのです。
たとえば「ピッキング作業の時間を短縮したい」「紙の書類を管理する手間を省きたい」のように改善したい課題を具体化しましょう。目的が明確になれば、どの物流システムの導入が必要か見えてきます。
自社に合ったシステムを導入する
物流システムを導入する際は、自社に合ったシステムのタイプを選ぶこともポイントです。
システムのタイプには以下の3種類があり、特徴が以下のとおり異なります。
システムタイプ | 特徴 |
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クラウド型 |
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オンプレミス型 |
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パッケージ型 |
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カスタマイズ性やセキュリティに高い精度を求めるほど、コストは高くなり、要件定義に時間を要します。予算や必要とする機能に合わせてシステム導入をしましょう。
どこまでの機能が必要か悩む場合は、システム構築の担当者や顧客とすり合わせをしてみるのも一つの方法です。
サポート体制が整ったシステムを選ぶ
物流システムを選ぶ際は、サポート体制が整っているかどうかもポイントです。システム導入でトラブルや不具合が起こっても、サポート体制が整っていれば安心です。
実際にシステム導入してから、従業員が使いこなせるようになるまでには時間が必要でしょう。場合によっては、メーカーに伴走してもらわなければ立ち上げがスムーズにいかないかもしれません。システム導入の際は、必ずサポート体制をチェックしてください。
まとめ
物流システムとは、業務を効率化するだけでなく、コスト削減やサービス品質の向上も実現できるシステムです。システムの導入前には、効率化させたい業務を洗い出し、自社の予算や運営方針を明確にしておきましょう。また、システムを利用する上で、安心できるサポート体制が整えられているかもチェックしてください。導入後は新しいシステムを使い慣れるまで、現場が混乱する可能性があります。
日本郵便では、お客さまの物流作業に応じて、最適な物流システム構築のサービスを提供しております。たとえば、在庫管理や消費期限管理など、お客さまのご要望に応じてオーダーメイドでシステム構築が可能です。また、EC事業を展開するお客さまには、複数のECサイトの受注情報を一元管理する受注システムのご提案もできます。
システム導入の費用が心配な方もいるかもしれませんが、必要な機能のみ採用できるため、お客さまの導入コストの軽減も可能です。物流システムの導入を迷っている方はお気軽にご相談ください。