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企業から顧客へ直接商品を届ける「メーカー直販」。利益率の向上をはじめとするメリットが期待できる一方、気をつけたい注意点もあります。そこで今回は、メーカー直販を理解し、活用するために、メーカー直販の仕組み、メリット・デメリット、成功のポイントを、企業事例を含めて詳しくご紹介します。メーカー直販に興味のある方、メーカー直販で課題を抱えている方はぜひご覧ください。
メーカー直販とは
メーカー直販とは、製造者(メーカー)が商品を直接、消費者へ届ける販売形態です。D2C(Direct to Consumer)とも呼ばれるこの形態では、販売に問屋・小売業者などを挟まない点が大きな特徴となります。
メーカー直販の仕組
これまで、企業の商品販売は、問屋や小売業者を介することが一般的でした。
一方、メーカー直販では、自社で企画・製造した商品を、問屋や小売業者を経由せず、消費者へ直接販売します。
メーカー直販では、企画・開発・製造・流通・販売のすべてを自社が担います。問屋や小売業者の代わりに、自社ECサイトやSNSなどを販売チャネルとして、消費者と直接取引します。
メーカー直販が注目される背景
メーカー直販(D2C)の誕生は1990年代といわれており、インターネットの普及に伴い、採用する企業も増えました。
また、スマートフォンの普及やSNS利用者の増大で、顧客に直接アプローチするためのインフラが整備されたことも、 メーカー直販がさらに注目を浴びる一因となっています。
ECサイトの市場規模は、例年拡大傾向を示しており、それに伴って今後もメーカー直販のニーズは高まり続けると考えられます。
メーカー直販のメリット
メーカー直販には、以下のようなメリットがあります。
- 利益率の改善
- ブランドの認知度が上がる
- ファンを獲得しやすい
- 価格競争を避けられる
- 柔軟なマーケティング活動ができる
- 商品開発に役立つデータを収集できる
利益率の改善
メーカー直販は、中間業者を介さないため、中間業者に支払うコストが抑えられます。
具体的には、中間マージン・手数料・流通コストなどが不要となり、その分利益率の向上が期待できます。
ブランドの認知度が上がる
メーカー直販では、企業の想いやメッセージを、消費者へダイレクトに伝えることが可能です。
また、商品・サービスのイメージを反映させた自社ECサイトの構築や、SNS展開なども可能なため、ブランドの認知度の向上・ブランドイメージの強化などが期待できます。
ファンを獲得しやすい
メーカー直販では、企業が消費者と直接コミュニケーションを取る機会が増えます。
このようなコミュニケーションの中で、企業の想いやメッセージが消費者にしっかり伝われば、関係も深まり、ファンが獲得しやすくなります。
ファンを獲得することで、購入の単価アップ・高評価の口コミ増加などの効果が期待できます。
価格競争を避けられる
ECモール出店では、同一商品・類似商品の価格競争が発生しやすいです。
また、利用するECモールの都合に沿って、セールや送料負担などをしなければならないケースも考えられます。
一方、メーカー直販では、自社の商品・サービスを直接消費者に販売するため、他の小売業者との価格競争を避けることができます。
柔軟なマーケティング活動ができる
問屋や小売業者を通した販売では、企業が思い描くマーケティングが実施される保証はありません。
一方、メーカー直販では、テスト的・実験的なマーケティングなども、企業の思い通りに柔軟に試すことができます。
これにより、ユニークな販売方法の確立や、市場の変化・需要の増減への素早い対応なども可能となります。
商品開発に役立つデータを収集できる
メーカー直販では、自社ECサイトの顧客属性や販売履歴など、多くのデータが収集できます。
また、消費者とのコミュニケーションを通じて得た意見・口コミなど、ダイレクトな反応も多数獲得できます。
これらのデータや反応を、商品開発へフィードバックすることで、顧客ニーズを的確に捉えた商品・サービスの開発が可能となり、競争力を高めることも期待できます。
メーカー直販の把握しておくべき注意点
メーカー直販には多くのメリットがある一方、以下の3点にはご注意ください。
- 自社サイトの場合ECサイトの立ち上げにコスト・作業がかかる
- ECモールへの出店より集客が難しい
- EC運用はノウハウがないと難しい
自社サイトの場合ECサイトの立ち上げにコスト・作業がかかる
メーカー直販に際して自社ECサイトを立ち上げる場合、 以下のようなコスト・手間がかかります。
- サイトの構築:Webデザイン・システム構築費、LPの制作費、コラムなどのコンテンツ制作費、商品の写真撮影、決算手段ごとの手数料など
- サイト運用:サーバーレンタル代、運用スタッフの人件費など
- 広告宣伝:リスティング広告・ SNS運用の手間・SNS広告などの費用など
- その他:倉庫作業・物流作業の手間、商品管理の手間、倉庫代、繁忙期のアルバイト代など
自社ECサイトを立ち上げにかかる費用や期間は、サイトのデザインや機能・事業の規模に応じて大きく変動します。
そのため、しっかりと事業計画を立て、必要な費用を予算化することが重要です。
自社サイトの場合ECモールへの出店より集客が難しい
有名ECモールは、サイトそのものの認知度が高いため、出店段階からある程度の集客を見込むことができます。
一方、自社ECサイトを立ち上げただけでは集客につながらないため、広告宣伝を通じて、戦略的に集客する必要があります。
対策としては、ターゲットの属性の明確化・SEO対策の実施・SNSマーケティングやWeb集客の手法を学ぶこと・ コンサルティングへの依頼などは考えられます。
EC運用はノウハウがないと難しい
ECサイト運営では、多くの業務が発生します。
具体的には、サイト制作・集客・Webマーケティング・プロモーションなどのフロントエンド業務ほか、顧客対応・カスタマーサポート・ 倉庫/物流などのバックエンド業務もあります。
そのため、運営ノウハウのない企業がメーカー直販に乗り出すと、多くの困難に直面することが予想されます。
また、無理に全ての業務をこなそうとすると、従業員の業務負担増加や業務品質の低下につながる可能性もあるため、 注意が必要です。
対策としては、負担の大きな業務・ノウハウのない業務をアウトソースすることなどが考えられます。
メーカー直販を成功させるポイント
メーカー直販を成功させるためには、以下の3点を意識しましょう。
- 卸・小売先との価格のバランスに配慮する
- 顧客と直接コミュニケーションを取る機会を増やす
- 物流は積極的にアウトソーシングを活用する
卸・小売先との価格のバランスに配慮する
メーカー直販する予定の製品を、すでに小売・卸売を介して流通させている場合は、注意が必要です。
メーカー直販は、流通コストを抑えることで低価格が実現できますが、卸・小売先の価格と大きな差が生じる可能性があります。
これによって卸・小売先との関係が悪化したり、購入額について消費者からクレームが入る恐れもあるため、メーカー直販の価格付けには十分配慮しなければなりません。
対策としては、メーカー直販の際に特典をつけたり、卸・小売を通したことのない商品を販売する方法などが考えられます。
顧客と直接コミュニケーションを取る機会を増やす
メーカー直販は「消費者との距離の近さ」が大きなメリットとなります。そのため、このメリットを生かした商品開発を実施すると良いでしょう。
具体的には、SNSやカスタマーサポートなどをしっかり活用し、ユーザーの意見をキャッチした上で、商品に対する不満・改善点・さらなるニーズを把握するように努めます。
また、商品開発などのストーリーや思いを伝えることで、ユーザーのファン化が期待できます。
物流は積極的にアウトソーシングを活用する
物流は、メーカー直販の中で多くのリソースを要する業務です。経験のない企業が自社で物流を担うと「物流品質が低くなることによるクレームの発生」「従業員の負担増」「需要が急増する繁忙期に対応できない」といった問題が起きる恐れがあります。
そのため、物流のアウトソーシングについては、早い段階から積極的に検討すると良いでしょう。
高品質な物流提供を考える場合、アウトソーシングした方が、自社で担うよりもコストが抑えられる可能性もあります。
また、商品開発やマーケティングなどのコア業務に専念できます。
メーカー直販の事例
メーカー直販を実施する企業の事例として、自転車事業を手掛ける「株式会社フジモリ様」を以下の記事にて紹介しています。直販を始めたきっかけから、事業におけるメリット・デメリットなどを詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
メーカー直販の事例を紹介!アウトソースによる変化や課題解決のポイントは?
株式会社フジモリさままとめ
メーカー直販は、製品を消費者に直接販売するビジネスモデルで、利益率の向上やブランド認知度の向上など、多くのメリットがあります。成功のポイントは、価格のバランスを保つこと、顧客との直接コミュニケーションを増やすこと、そして物流を積極的にアウトソーシングすることです。
実際に、株式会社フジモリ様は、日本郵便の物流ソリューションによって課題を解決し、大きな成果を上げています。
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